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先週末、幕張メッセで開催された日本口腔外科学会に参加してきました。1年に一度開催される口腔外科学会で、口演、ポスターによる発表および様々なシンポジウム、セミナー、レクチャーがあります。

今回受講した「骨代謝回転抑制剤関連顎骨壊死・骨髄炎の診断、治療、管理-エビデンスと実際-」のレクチャーは非常に興味深く、勉強になりました。2003年に初めて骨粗鬆症予防、改善のため、がんに関連する骨吸収の抑制、高カルシウム血症の改善などに処方されているビスフォネート製剤を使用した患者さんに、顎の骨の壊死が発症することが報告されました。それ以降、様々なエビデンスや基準が存在し、処方している医師、口腔内を診ている歯科医師、ビスフォネート製剤を服用している患者さんの間で混乱が生じています。今回のレクチャーでは具体的な数字や治療法の解説および整理された目標の提示があり、とても勉強になりました。

ビスフォネート製剤は骨粗鬆症治療薬の第一選択としてよく用いられ、毎日・週1回・月1回の内服製剤、月1回の点滴製剤があります。それぞれの骨折抑制効果と患者さんの年齢、骨折リスク、ライフスタイル、薬の副作用などを考慮に入れて投与が可能です。内服、点滴にかかわらずビスフォネート製剤のような強力な骨吸収を抑制する薬を長期間使用していると、骨の代謝障害が起きます。

骨は破骨細胞のよる骨の吸収と、骨芽細胞による骨の形成を繰り返して代謝しています。破骨細胞と骨芽細胞はセットなので、ビスフォネート製剤により破骨細胞の数を少なくすると骨芽細胞も少なくなり、骨の形成も抑えることになります。そのため、ビスフォネート製剤を長期間使用している患者さんに抜歯を行った場合、抜いた部分に本来できるべき骨ができないばかりではなく、古い骨を除去する破骨細胞が働かず、定められた寿命を超えて残り、骨の細胞は死んでしまい、後には死んだ骨が取り残されます。これが骨の壊死です。

また、顎の骨はビスフォネート製剤投与の影響が、他の骨より10倍感受性が高いといわれています。よって、服用や点滴を開始する前に歯科を受診してください、と医師から勧められるのです。

前述したように、内服・点滴、投与の間隔、期間により対処方法は異なりますので、歯科受診の際にはビスフォネート製剤を「いつから」「どのくらいの量」を使用しているか教えてください。

主なビスフォネート製剤です。

ダイドロネル アレディア テイロック

ボナロン フォサマック ベネット アクトネル リカルボン ボンビバ ゾメタ

 

ビスフォネート製剤ではありませんが、2012年に承認された抗RANKLモノクローナル抗体のデノスマブも同様に顎の骨壊死を引き起こすことがあるため注意が必要です。

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