神経の近くまで達してしまった深いむし歯の場合、これまでの治療法では、麻酔をして神経を取る治療が一般的でした。歯の中には、骨から神経とともに血管も入っており、神経を取ってしまうと栄養分も供給されなくなるため、歯が極端にもろくなります。その結果、歯が割れたり、無菌でなくなるため根の先に病巣(細菌の巣)ができることもあります。そのため、できる限り歯の神経は取らないようにすることが、歯を健康に永く使用することにつながります。
当院では神経を残す治療;「直接覆髄法」を行っています。
むし歯になった部分を取り、神経が露出している場合に、MTAセメントという材料を使用し、神経を保護、保存を行い、残すことができる治療法です。
<適応症>
自発痛(何もしなくても痛む)がない
電気歯髄診で反応がある
レントゲンで根の先に異常がない
歯髄(神経)に炎症がない
<成功率>
70%程度
→治療直後に強い冷水痛(冷たいお水が触れると痛む・凍みる)が続く場合は神経を取る治療に移行することがあります。
<直接覆髄の治療方法>
- 麻酔をしてむし歯の部分を削って取ります。
- 神経が露出した部分にMTAセメントを貼ります。
その上にレジン(歯科用プラスチック)で仮のふたをします。
*治療はすべてマイクロスコープ;手術用顕微鏡を使用して行います。
1か月ほど症状がでないことを確認後、最終的なかぶせ物をします。
<費用>
5万円(税込み55000円) かぶせ物は別途かかります
<神経を取った場合の治療方法>
麻酔をして神経を全て取ります。
根の中を消毒、お薬を入れます(1週間に1.2回、数か月通院が必要です)。
根の中に最終的なお薬を入れます。
かぶせ物をします。
<神経を取るデメリット>
血液と栄養分が途絶えるので歯の色がグレーから黒く変わる
痛みを知らせる神経がないためむし歯になっても気づきにくい
歯がもろくなるため割れたり、膿がたまったり、またむし歯になりやすくなる
*神経をなるべく残したい方はお問い合わせください。適応症かどうか診断いたします。