診療案内 Treatment

むし歯治療

むし歯とは?

歯の成分である、無機質(リン酸カルシウム)の脱灰と有機質(タンパク質)の溶解により、歯の石灰化組織に生じる疾患です。細菌、食べ物、時間、歯質(歯の質)の4つの条件が重なった時になります。私たちのお口の中には500~700種類の細菌が何億という数で存在しています。

その中のむし歯菌(ミュータンス菌)が食べ物から糖分を取り込み、バイオフィルム(細菌やその産生した菌体外多糖体による集合体である生物膜)を作ります。口腔内のプラーク(歯垢)もバイオフィルムの一つです。むし歯菌はこのバイオフィルムの中に住んでおり、食べ物の中の糖分を取り込み、酸を出し、歯が脱灰され(歯が溶かされ)続けるとむし歯へと進行します。
口の中に存在する唾液は、むし歯菌が出した酸を中和し、さらに脱灰された歯を再石灰化して修復します。中和する時間が確保できない(食事と食事の間隔が短いなど)、唾液の量が少ない、などの条件が重なるとむし歯になります。

むし歯とは

むし歯の原因・予防方法

1. 細菌:プラークが残っている

食事のたびに歯磨きをするのはとても大切です。毎食後に歯磨きしていてもむし歯になるのはプラークが残っているためです。プラークがあるとその中に住んでいるむし歯菌が酸を出し続けるので、唾液の中和作用が追いつかなくなり、むし歯になります。

【予防方法】
プラークを除去するには、歯ブラシだけではなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、ヘッドが小さな一本磨き用歯ブラシなどを使うとよいでしょう。磨きにくい歯並びやかぶせものなどが入っている方には、磨き方のコツをご案内しております。

2. 食べ物と時間:間食が多い、加糖の飲み物を常時飲んでいる

何も入っていないお口の中はpH6.8~7.0で中性です。そこに食べ物が入ると細菌が糖分を取り込み、酸を出します。酸性に傾いた お口の中の環境を中和するのが唾液で、30~40分程度で中性に回復します。pHが回復しない間に間食や加糖の飲み物を飲んだり すると、酸性の状態が長く続くため、むし歯になりやすくなります。

【予防方法】
食事や間食はできるだけ決まった時間にとり、飲み物は無糖のものに変えるとよいでしょう。

3. 歯質(ししつ):歯の質が弱い

歯の質が弱いと、むし歯菌が出した酸により溶かされやすくなります。

【予防方法】
フッ化物やハイドロキシアパタイトが入っている歯磨き剤・マウスウオッシュを使いましょう。

歯磨き剤

唾液

唾液:図1

むし歯菌の酸を中和したり再石灰化するのにとても大事です。
大きな唾液腺は、耳下腺、顎下腺、舌下腺があり、その中でも耳下腺はさらさらな液が分泌され(漿液腺)、お口に潤いを与えます。耳下腺分泌が少ない方には自分で簡単にできるマッサージをお勧めしています。
図1のように、耳下腺は耳たぶの下から顎のエラ、頬骨にかけて広がっています。唾液が通る管はお顔の後ろ側から前に向かって走行し、出口はお口の中の、上奥歯の頬粘膜(ほおの粘膜)に位置しています。

唾液:図2

図2のように、耳たぶの下から頬骨にかけて指を添え、後ろの指から前に絞るように押します。1.2.3.4の順に後ろから送るように絞ります。マッサージはお食事の前が効果的です。左右にありますので、両方、10回ほど行ってください。

口腔乾燥の原因は様々です。全身的な原因として、脱水や代謝異常があります。唾液腺自体の原因としては、加齢変化、放射線治療や炎症による萎縮、唾液分泌神経の障害、その他、口呼吸などがあげられます。マッサージをしても乾燥が改善されない場合には、口腔外科または耳鼻科を受診しましょう。

むし歯の分類・症状・処置

C0

進行程度脱灰により歯の表面が白く濁る。(薄く茶色になっている場合もあります)表面に穴などの欠損が無い。
病状なし(無症状)
処置フッ化物塗布、シーラント充填(溝をレジン、セメントで埋めます)、icon治療 

C1

進行程度脱灰が進みエナメル質に小さな穴が開いている初期のむし歯。表面は茶色や黒色。
病状痛みなどの症状がない場合が多い。
処置むし歯の部分のみを除去。→レジン(歯と同じ色の詰め物)で埋めます。→グラディアダイレクトボンディング 

※グラディアダイレクトボンディングについて
部分的な詰め物に、グラディアダイレクトボンディングという方法を採用しています。従来の保険適用の部分的な白い詰め物は、約2年で変色します(食べ物の摂取量、種類により個人差があります)。グラディアは変色しにくく、天然歯(ご自分の歯)の色調・透明感を再現することができます。

グラディアの特徴
1. 高い粘靭性(割れにくい)と強度がある
MFRハイブリッドタイプのフィラー(詰め物)表面活性技術により実現しました。

2. 天然歯に近い色調・透明感を再現
全27色を3層に分けて盛り上げることで個々の歯の色調に合わせることができます。

3. 歯の削る量を最小限にできる
全体的に削らなくても部分的に詰めることが可能です。
※かみ合わせや形態により不適応症例があります。

4. 来院したその日に詰め物が完成
歯の型をとる必要がないため、1回で治療が完了します。

5. 保険適応外
10,000円(税込11,000円)~ ※詰める量、部分によりお値段が変わります。

お茶をよく飲まれる方、おタバコを吸われる方にも好評です。お気軽にご相談ください。

C2

進行程度エナメル質のすぐ内側にある象牙質まで進行。
※ 象牙質:歯の中にある神経から枝が出ており、神経とつながっています。
病状冷たいもの、熱いもの、甘いものが凍みる。(一症状の場合もあります)咬んだ時に一瞬痛みを感じることもある。
処置むし歯の部分を除去。→レジンで埋める、もしくは部分的なかぶせもので埋めます。
※ かぶせものは歯型をとるため、治療回数が2回ほどかかります。完成するまで仮の詰め物になります。

C3

c3
進行程度象牙質の内側にある神経まで進行。
病状神経症状が出る。冷たいもの、熱いもの、甘いものが凍みる。咬んだ時に強い痛み、または何もしなくても痛みが出ることもある。
処置麻酔をして神経を取り除く。
※ 炎症が強いと麻酔が効きづらい場合があります。
※ 放置すると歯が植わっている骨に炎症が及ぶこともあるため、症状が出たら早めに治療を受けましょう。
→ 数回~数十回根の中を消毒(状態により回数が変わります)。
→ 補強のために土台(芯棒)を入れます。
→ 土台の上に全体的なかぶせものをします。
※ 歯質の欠損範囲によりかぶせものの範囲も変わります。

C4

C4
進行程度歯茎から萌出している部分が崩壊し、歯の根(または一部分)のみが残っている。
病状無症状もしくは下記のような症状が生じることがあります。
神経がまだ生きている場合は冷たいもの、熱いもの、甘いものが凍みる。神経が死んでいる場合は無症状のこともある。歯が植わっている骨にまで細菌が侵入し化膿して膿がたまる。歯茎が腫れる。臭いがする。何もしなくてもズキズキ痛む。フィステル(瘻孔)ができる(膿の出口です)。
処置ほとんどのケースが抜歯になります。根の洗浄・歯根端切除術により残せることもあります。

永くご自分の歯でお食事をするために

むし歯は自然に治ることはありません。また進行すると痛みや腫れなどの症状が強くなり、治療の回数もかかります。その間お食事が不自由になり、皆様の貴重なお時間がとられてしまいます。お口の中の状態が一人一人違うように、ライフスタイルも人それぞれです。当院では皆様のご要望やご不安な点をその都度伺い、治療方法や期間のご提案をしています。治療について一緒に考えていきましょう。

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