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お知らせ 治療内容

「MTAセメント」について

近年、歯の治療にはいくつもの大きな革新的な技術・道具・材料が生まれ、その1つにMTAセメントがあります。神経の近くまで虫歯になってしまった場合、神経の空洞の壁に穴が空いてしまった場合、神経の空洞の治療が終了して閉鎖する場合などMTAセメントは色々な場面で使用可能で歯の治療上非常に有用な材料の1つです。

<MTAセメントのメリット>

・わずかに膨張して封鎖性が高い→細菌侵入しにくい

・硬化時に高いアルカリ性を示す→抗菌性を持つ

・高い生体親和性→細胞毒性が弱く、骨を誘導する

・カルシウムイオンの放出→周囲の歯質を強化する

<MTAセメントのデメリット>

・周囲に硬組織が作られるため除去が困難→再治療が必要な場合は外科的手術が必要

・含有する造影剤によっては化学反応により変色することがある

・保険適用外

※米国をはじめとした海外の治療では普通にMTAセメントが使用されています。

日本では神経の空洞の閉鎖にはガッタパーチャーという樹脂が保険による治療に使用され、MTAセメントの使用は薬事の関連で神経の空洞を閉鎖する材料としては保険診療では認められていません。

<ガッタパーチャーのメリット>

・溶解させることが出来る→再治療時に除去が容易

<ガッタパーチャーのデメリット>

・経時的に劣化、吸収する(収縮する)→細菌侵入が容易

・歯と接着性がない→細菌侵入が容易

・抗菌性がない

・歯根の先から出ると異物反応を示すことがある

MTAセメントは1990年代に動物実験などで安全性が確認されており、海外では以前より神経の空洞の治療に使用されています。日本でも日本歯内療法学会などでその効果などが報告されていますが、未だに保険治療での使用は認められていません。 当院ではより治療効果が期待される場合には、適応を診査したうえで、MTAセメントによる神経の空洞閉鎖、直接覆髄や歯根破折にも使用をお勧めしております。   

お知らせ 治療内容

直接覆髄法(ちょくせつふくずいほう)~神経を残す治療~

 

神経の近くまで達してしまった深いむし歯の場合、これまでの治療法では、麻酔をして神経を取る治療が一般的でした。歯の中には、骨から神経とともに血管も入っており、神経を取ってしまうと栄養分も供給されなくなるため、歯が極端にもろくなります。その結果、歯が割れたり、無菌でなくなるため根の先に病巣(細菌の巣)ができることもあります。そのため、できる限り歯の神経は取らないようにすることが、歯を健康に永く使用することにつながります。

当院では神経を残す治療;「直接覆髄法」を行っています。

むし歯になった部分を取り、神経が露出している場合に、MTAセメントという材料を使用し、神経を保護、保存を行い、残すことができる治療法です。

<適応症>

自発痛(何もしなくても痛む)がない

電気歯髄診で反応がある

レントゲンで根の先に異常がない

歯髄(神経)に炎症がない

<成功率>

70%程度

→治療直後に強い冷水痛(冷たいお水が触れると痛む・凍みる)が続く場合は神経を取る治療に移行することがあります。

<直接覆髄の治療方法>

  • 麻酔をしてむし歯の部分を削って取ります。
  • 神経が露出した部分にMTAセメントを貼ります。

その上にレジン(歯科用プラスチック)で仮のふたをします。

*治療はすべてマイクロスコープ;手術用顕微鏡を使用して行います。

 1か月ほど症状がでないことを確認後、最終的なかぶせ物をします。

<費用>

5万円(税込み55000円) かぶせ物は別途かかります

<神経を取った場合の治療方法>

麻酔をして神経を全て取ります。

根の中を消毒、お薬を入れます(1週間に1.2回、数か月通院が必要です)。

根の中に最終的なお薬を入れます。

かぶせ物をします。

<神経を取るデメリット>

血液と栄養分が途絶えるので歯の色がグレーから黒く変わる

痛みを知らせる神経がないためむし歯になっても気づきにくい

歯がもろくなるため割れたり、膿がたまったり、またむし歯になりやすくなる

*神経をなるべく残したい方はお問い合わせください。適応症かどうか診断いたします。

治療内容

局所麻酔剤の種類について

こんにちは。
本日は当院で使用している局所麻酔薬の血管収縮薬および防腐剤の有無について説明いたします(表参照)。

歯科用キシレステシンカートリッジには、防腐剤は入っておりませんが、血管収縮薬のエピネフリンが配合されています。
歯科用シタネスト-オクタプレシンカートリッジには血管収縮薬としてフェリプレシン、そして防腐剤が入っております。
症例によって、エピネフリン、防腐剤ともに配合されていない局所麻酔薬を選択することがあります。そのため、スキャンドネストカートリッジも用意しております。
エピネフリン無配合のため、高血圧症、動脈硬化、心不全、甲状腺機能亢進、糖尿病の患者さんにも使用が可能です。
防腐剤アレルギーの患者さんにも安心して使用できます。
その他、しびれの持続時間がキシロカインカートリッジの約半分であるため、治療後のしびれの負担が少なくてすみ、お子様などが誤って噛んでしまう危険性が軽減されたり、治療後にご予定のある成人の方にも処置内容によっては使用可能です。

麻酔をする前に、それぞれの方に問診をしてからお薬を選択しております。安心して受診なさってくださいね。

血管収縮薬防腐剤
キシテステシンアドレナリン
シタネストフェリプレシン
スキャンドネスト
治療内容

妊娠中、授乳中の局所麻酔について

こんにちは。
麻酔は大丈夫なのかな、レントゲンは、などどいろいろなことが心配になりますね。
今日は麻酔についてお話をします。

妊娠4週~7週には胎児の中枢神経、心臓、消化器、手足などが発生します。
特に、2カ月までは妊娠に気付くかどうかの時期ですので、妊娠の可能性があれば歯科医院でその旨を伝えてくださると対処ができます。

アメリカミネソタ大学のチームが妊娠13~21週、または産後3ヶ月までの方823人を対象に研究を行いました(The Journal of the American Dental Association[2008;139(6):685-695]に掲載されました)。

死産、陣痛による24時間以上の入院、それ以外の理由による入院、胎児奇形、先天異常、新生児死亡などの発生の有無をみました。

結果より、Bryan Michalowicz氏らは
「13~21週の妊婦の歯科治療について、中等度~重度の虫歯、破折歯、根の治療や局所麻酔薬の投与は、安全に施行可能である」
と結論づけています(Dental Tribuneより)。

それでも気になるかたはいらっしゃることでしょう。

  • 歯科用キシレステシン:リドカインと血管収縮薬としてアドレナリンが配合
  • アドレナリン:通常の使用量では弱い子宮弛緩作用により胎盤血流量は増加するとされています。
  • 歯科用シタネスト・オクタプレシン:塩酸プロピトカインと血管収縮薬としてフェリプレシンが配合
  • プロピトカイン:胎盤を容易に通過し、母体濃度より胎児濃度が高くなるため、使用は避けたほうが安全とされています。
  • 歯科用スキャンドネスト:塩酸メピバカイン 血管拡張作用がないためアドレナリンは添加不要
  • メピバカイン:リドカインより胎盤通過性は低いが血中濃度が高くなると胎盤への結合率が高くなります。

以上より、当院では治療の有益性が局所麻酔薬の危険性を上回ると判断される場合にのみ使用し、キシレステシンまたはスキャンドネストを選択し、使用量を必要最低限にするように治療しております。

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